概要 ▶ 今回は「『この春、貴方に届けたい珠玉のビジネス書』 by 北書店を愛する愉快な仲間たち 新潟市読書会」(関連記事)で私がPOPを書いてお薦めした『急に売れ始めるにはワケがある』(マルコム・グラッドウェル著/高橋啓訳/ソフトバンク文庫)について、まとめを書きたいと思います。急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則(ソフトバンク文庫)posted with ヨメレバマル
サービスや商品を知らせるためにできること
様々な商品やサービスが消費者に普及させるために、サービス提供者側が行えることは2つだけです。- 広告を使って知らせる
- 口コミを起こす仕掛けを作る
この書籍は、2番目に書いた「口コミ」の正体とは一体何なのかをわかりやすく解き明かしていくものです(※)。
※本当は口コミの事だけではなく、感染的に広がっていく話なのですがわかりやすく口コミという表現にします
口コミは偶然ではなく、必然
口コミは自然発生的に、そして偶発的に起こるもののように捉えられがちです。
サービス提供者からすれば、「良い商品・サービスであれば必ず口コミで広がるはず」と思いがちです。
しかし実際にはそうではない場合が多い。
本書では、口コミが起こる要素があって初めて口コミが発生するものだと説明しています。
口コミに必須の3要素
口コミ発生のための要素は以下の3つと本書では解説しています。- 少数者の法則
- 粘りの要素
- 背景の力
「少数者の法則」は、媒介者(コネクター)・通人(メイヴン)・セールスマンと呼ばれる属性を持つ一部の人物が爆発的普及に大きく関わっているということです。
商品・サービスを誰でも渡せば口コミが広がるというものではなく、広げる資質がある人物に接触しなければならないということを説明しています。
「粘りの要素」は、商品・サービスの情報を受け取った人達がその情報をきちんと記憶に残してもらうために必要な要素です。
情報の受取手がどのようなポイントに興味関心を持つのかを分析しそのポイントに集中して情報を発信すること、また記憶に残すためには情報発信の繰り返しが必要ということを解説しています。
「背景の力」は、商品・サービスがおかれている環境・状況が口コミに大きく影響するということです。
周りの環境・状況に人の行動が影響されることは、感覚的に理解できるが、この「背景の力」は、商品・サービスに直接的に関わっているとは一見思えないようなものもあることを説明しています。
これらの3つの要素が折り重なって口コミが発生するとしています。
本書を読んで頂きたい方
この書籍では商品・サービスを広げたいマーケティング担当者に当然ながらお薦めできます。また、情報発信を行っている人にもお薦めできます。
情報発信をしている人は商品・サービスを広げるわけではないですが、情報を広げるという点でマーケティング担当者と同じ意識を持つべきです。
本書の口コミ発生の要素を意識して情報発信してみることで、より効果的に情報を発信する(=情報を届ける)ことができるのではないでしょうか。
基本的に前半の3つの法則を読めばOKですが…
後半は事例が掲載されており、第7章では「自殺と喫煙」と題して、どのようにしたら喫煙をやめることができるのか、やめさせることができるのかといった非常に気になる話題も書かれています。難しい話が苦手という方はこうした事例から入ってみることもできる書籍です。