広告の費用対効果の指標「ROAS」の適切な値って何だろう? 手数料と利益面から考えてみた


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概要 ▶ 広告をするときに使う指標のROASですが、●●%と数字で出されても、どのくらいが適切なのかがわからないので、利益面から計算して判断を試みました。
広告の費用対効果の指標「ROAS」の適切な値って何だろう? 手数料と利益面から考えてみた

みなさん、物販で広告使っていますか?

私は実はほんの最近まで物販で広告を使ったことがありませんでした。

広告を使ってなかった理由は、広告を使って物販をしても儲からないのでは?と思っているからです。


そんな思いを持っている中、販売プラットフォームの担当から販売プラットフォーム内の広告のご案内をいただいて、少しだけ広告をやってみることになりました。回りくどい言い方をしているのはお察しください。

さて、本当に広告を使って物販で儲かるのでしょうか。今回は、広告を手数料と利益面から考えていきます。


トップ画像出典:Photo MixによるPixabayからの画像(Pixabay)

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広告ではROASという指標を使う

広告を使う上で出てくる指標のひとつにROASというものがあります。

今回私が広告を出したサイトはダッシュボードにデカデカとROASの指標が出ており、今回の導入にあたって担当の方が「ROASに注目していきましょう」とコメントをしていたので、ROASという指標に注目してみます。


ROASとは何でしょうか。

ROASは「Return On Advertising Spend」の略で日本語では「広告の費用対効果」という意味です。

ROASは%で表されます。

計算式は以下のとおりです。

(広告経由の売上÷広告費)×100

計算自体は簡単ですね。例を挙げてみると、100円の広告費を掛けて、広告経由の売上が400円だったら、ROASは(400÷100)×100=400%となります。100円の広告費を掛けて、広告経由の売上が1000円だったら、ROASは(1000÷100)×100=1000%となります。


さきほどの計算からわかるようにROASの値が高ければ高いほど、広告の効果があった、広告の効率が良かったということになります。

ROASの値は高ければ高いほど良いのでしょうが(100円の広告で100万円の売上だとROASは1000000%なので)、実際、ROASの値ってどのくらいが適切なのでしょうか?

商材によって販売価格や原価が異なるので、ROASの適切な値は異なりますが、手数料と利益という面から見た計算をしてみたのでひとつの参考にしてみてください。自分用のメモでもある



今回の広告を提案してきた担当の方からは「まずはROAS 100%を目指しましょう」と言われました。

ROASの値が100%ということは、100円の広告費で100円の売上をあげたということになります。(100円の売上÷100円の広告費=1.0=100%)

さすがにROASが100%では広告に意味がないことは感覚的にわかります。


感覚的な部分をもう少し掘り下げてみましょう。

販売プラットフォーム(モールやシステム)で商品を販売したときには、売上に応じた手数料が差し引かれますよね。

例えばこれを15%の手数料とすると、100円の売上では15円が手数料となるので、100円-15円=85円が利益となります。原価を考えていないので利益というより手元に残る金額ですね。


ROASが100%の例を考えてみると、100円の広告で100円の売上になったということです。

このため、ROASが100%の状態は、販売のために掛かった手数料が100円÷100円=100%と見ることができます。

販売プラットフォームの手数料が15%だとすると、合計で115%の手数料になります。売れば売るほど赤字が膨らむ形になります。


画像出典:PexelsのAnna Tarazevichによる写真


実際に計算してみましょう。

販売プラットフォームへの手数料を引いた利益は、先ほど計算したように100円-15円=85円ですね。

この金額を得るために必要だった広告費が100円だったので、85円-100円=-15円(▲15円)となります。15円の赤字です。


いくら何でもさすがにROASが100%では手数料が大きすぎて大問題なので、広告を使って販売のためにどのくらいの手数料を「追加で」取られても良いのかを考えてみます。(販売プラットフォームで販売に必要な手数料は広告経由でも広告経由でなくても取られるのでここでは一旦無視します)


広告による追加の手数料を25%とする場合

手数料を25%にするためには以下の計算をします。100円の広告で考えてみます。Aは求める売上です。

100÷A=0.25=25%
100=0.25×A
100÷0.25=A
400=A

100円の広告で400円の売上が必要ということになります。ROASの値で言えば400%です。


広告による追加の手数料を20%とする場合

手数料を20%にするためには以下の計算をします。

100÷A=0.20=20%
100=0.20×A
100÷0.20=A
500=A

100円の広告で500円の売上が必要ということになります。ROASの値で言えば500%です。


広告による追加の手数料を15%とする場合

手数料を15%にするためには以下の計算をします。

100÷A=0.15=15%
100=0.15×A
100÷0.15=A
666.666…=A

100円の広告で666円の売上が必要ということになります。ROASの値で言えば666%です。


広告による追加の手数料を10%とする場合

手数料を10%にするためには以下の計算をします。

100÷A=0.10=10%
100=0.10×A
100÷0.10=A
1000=A

100円の広告で1000円の売上が必要ということになります。ROASの値で言えば1000%です。


このように、広告について、どのくらい手数料を支払っても良いかをあらかじめ決めておいて、そこからROASの目標値を設定することがひとつの参考になると思えました。

厳密なものとしてROI(Return On Investment)の値できちんと利益が出ているかを見ることができますが、それよりも販売手数料に落とし込んだ方が販売の現場的にはわかりやすいし、継続的にリピートしてくれる商品であれば、LTVから計算する必要があるけど、今回は省略。


広告費売上高比率(ACOS)という指標

Amazonマーケットプレイスの広告を見ていたら「広告費売上高比率」(ACOS/Advertising Cost of Sale)という指標があるようです。

これは端的に言えば、さきほど解説したことと同じでROASの逆数(1をROASで割ったもの)です。

「広告による追加の手数料を15%」と「広告費売上高比率が15%」は同じ意味です。

広告費売上高比率(ACOS)は、スポンサー広告キャンペーンから直接的な売上につながったものの割合です。ACOSは、投資した広告費を生成された総売上高で割って算出します(ACOS = 広告費/売上)。たとえば、スポンサー広告キャンペーンに20ドルを費やし、100ドルの売上が発生した場合、ACOSは20%になります。

ACOSは、広告費用対効果(ROAS)の逆数であり、広告費用対効果は生成された総売上高をキャンペーンに投資した広告費で割って算出します(ROAS = 売上/広告費用)。ROASとは異なり、ACOSはパーセンテージで表されます。

広告費売上高比率(ACOS)(Amazon Advertising)


この2つの指標の違いを分かりやすく説明すると、ROASが売り上げなどの成果や効果を重視する指標であるのに対し、ACoSは投資やコストを重視している指標であるということです。

ですから、ROASは広告の成果を測定したい場合や、リスティング広告やディスプレイ広告と言った様々な広告の中からどの広告が適しているかを判断する場合などの使用に適し、ACoSは、広告費の予算額や事業計画の作成など事前の計画を立てる際の使用に適している指標となります。

ACoSとは?ROASとACoSの違いを解説します(テレマーケティングワン)

個人的には最初からこうした指標が最初から出ていた方がわかりやすいと感じました。


広告と割引の役割とバランス

今回考えてみた広告ですが、これは割引(もしくはポイント割増)と表裏一体だと感じました。

100円の商品で10%割引とすれば、売上が90円になるので、10%の手数料のようなものとも考えることができます。

割引を手数料的に捉えると、広告で追加の手数料が10%になることと、商品金額を10%割引することは同じようなものということになります。


広告と割引の役割は以下のように考えられます。

  • 広告:購入する前の人にアプローチする手段
  • 割引:購入しようとしている人を後押しする手段

広告と割引はそれぞれ購入する前と購入直前のアプローチになります。

新規のお客様はそもそも商品を知られていないので、広告をしなければリーチできないですし、商品を既に見ていて購入しようとしている人には、割引という後押しが販売に有効になりますね。

このため、新しいブランドを立ち上げたときには、広告でまず認知されるように働き掛け、訪問者数を多くすることを目指し、既存顧客が増えてきたら割引などのキャンペーンで購入単価を上げる、もしくは、リピートを促進してLTVを向上させるという形が望ましいのではないかと感じました。

最終的な手数料的な数値が同じであれば、広告でも割引でも、手元に残る金額は変わらないので、きちんとバランスを考えて運用したいですね。割引の場合は販売プラットフォームへの手数料が異なってくるが、ここではそこまで細かいことはツッコまない。


それでは、よい広告ライフを。

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