Adobe Creative CloudアプリでType 1フォントが使えなくなる(まずは2021年のPhotoshopから順次終了へ)
公開:2019-09-18 08:19
更新:2020-10-14 23:31
編集:jdash2000
概要 ▶ まずはPhotoshopが2021年中にType 1フォントのサポートを止めることを発表しました。今後、Photoshopだけでなく、ほかのAdobe CCアプリでもType 1フォントのサポートが止められることになるでしょう。
Twitterを見ていたら、気になる話題が飛び込んできました。
2020年秋に公開されるとみられるPhotoshop 2021からType 1フォントのサポートを止めるという情報が入ってきました。(Photoshop 2021はあくまで通称。正式バージョンはPhotoshop 22)
フォントのサポートが終了するという、ちょっと気になる話題だったので調べてみました。
ATypIとは?
ATypIと書かれていますが、これは「Association Typographique Internationale」です。ATypIは文字関係のコミュニティで、タイポグラフィの文化や歴史を保存したり、デジタルフォントの促進やタイポグラフィの教育・保護活動などを行っています。
このAtypIのイベントが先日東京で開催され、その中のセッションでアナウンスされたそうです。
ちなみにこのセッションは樋口さん(@higuchidesign )によれば「Type1フォントの略歴」とのことで、そのセッション紹介のページには、Type 1について…
「だった」と過去形でバッサリ(笑)。
まだType 1を使っている代表国とのことで、物持ちの良い国だと紹介されています(違う)。
Type 1フォントについて
ところで、Type 1フォントって何でしょうか。
アプリケーション・OSから
Type 1フォントはPostScriptフォントで、IllustratorやPhotoshopのフォントメニューでは「a」のアイコンでおなじみの形式 です。
最近はOpenTypeフォントがほとんどなので、あまり見なくなってきましたが、古くからDTPをされている方は、多くType 1フォントをお持ちかもしれませんね。
ちなみに「O」がOpenTypeフォントで、「T」が2つ並んでいるものがTrueTypeフォント、雲にチェックマークがAdobe Fontsです。
画像出典:Illustrator でのフォントの使用 (Adobe)
フォントフォルダーでは以下のようなアイコンを見たことがあるかもしれませんね。左上の「A」のアイコンと右下の「a」のアイコンのフォントになります。
画像出典:OpenTypeフォント機能 | Adobe Type
Adobe公式ページから
AdobeのページにType 1フォントについて説明しているページがあったので紹介します。
Type 1フォントは1980年代半ばにAdobeからリリースされたマルチプラットフォーム対応のスケーラブルフォント(拡大縮小が可能なフォント)で、1991年に仕様がすべて公開されました。
Adobeは1999年に新たなType 1フォントを開発することを止めました。もう20年も前のことなのですね。
Type 1フォントの新しい開発を止めて20年という節目に、最初に紹介したPhotoshopでのType 1フォントサポート終了が発表されたのは偶然ではないかもしれません。
このページの要約は「消え去るType1フォント 」(PDF 千夜一夜)に掲載されているので、興味のある方はこちらをご覧ください。
AdobeのページでPhotoshopについてのアナウンスページも既に用意されていました。
こちらを見ると「in 2021」とあるので2021年中と読み取れます。もしそうなら、Photoshop 2021(Photoshop 22)ではなく、Photoshop 2022(Photoshop 23)でType 1フォントのサポートが終了しそうです。 ※記事公開後に日本語のヘルプページも公開されたので引用を追加しました。
PhotoshopのType 1フォンとのサポートについては、AtypIのセッション動画でも、「in 2021」となっていますね。(17分24秒あたりから)
セッションのスライドでは何が2021年に変わるのか、として以下のものが挙げられています(意訳)。
PhotoshopでType 1フォントが表示されなくなる
昔のPhotoshopで作ったType 1フォントが含まれるドキュメントではフォントがないと表示される
Type 1フォントが埋め込まれたPDF・EPSドキュメントは継続してPhotoshopで使うことができる
やはりType 1フォントの使用が限定的になるようですね。
セキュリティーから
詳しくはわかっていませんが、Photoshop CCのEPSファイルに含めたType 1フォントのFontBBoxの配列に脆弱性があって任意のプログラムを動作させることができた不具合があったようです。現在は修正済みのようですが、過去の遺産を継承しつづけると、開発コストやメンテナンスコストも無視できないくらい大きくなってしまうのかもしれませんね。
IllustratorやInDesignではType 1フォントの扱いが終了するのか
Photoshop 2021でPhotoshopのType 1フォントのサポートが終了するとなると、ほかのアプリでのType 1のサポートが気になります。
大曲 都市さんの以下のツイートではほかのアプリは個別にサポート終了が違う 旨が紹介されていました。つまりIllustrator 2022やInDesign 2022で直ちにType 1フォントのサポートが終了するわけではないが、製品担当者の考え方次第では、サポート終了も可能性としてある ということです。(今回のAtypIの出演者はPhotoshopのエンジニアでした)
なお、ツイート内に掲載されているURLの内容はAtypIのレポートが書かれていたページですが、今現在なぜか見えなくなってしまいました。きちんと保存しておくべきだった…(無念)。
まとめ
既にPDFに埋め込まれているType 1フォントをAcrobatで表示できなくなることは考えづらいですが、いずれにせよ、大曲さんの仰るようにType 1フォントを使用している制作物があれば、OpenTypeフォントへ移行していく 準備をしていかなければならないでしょう。
制作物のデータを再利用をするときにフォントが正常に表示されないということになると、色々面倒なことになりそうですから、できるところからドキュメントの使用フォントをチェックしておきましょう。
それでは、よいフォントライフを。