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久しぶりに数学的な謎解きをしました(笑)。(普段は何をしているんだ…)
というわけで、以下のツイートを見て、なぜ鍵が開くパターンが10,000通りではなく、210通りなのかというお話です。
4桁暗証番号が話題になってるので思い出したけど、こういう押しボタン10個の数字から4桁を選んで押すタイプの鍵って、ものすごく弱いのはもう少し知られても良いと思う。算数弱い人は1万通りとある思ってしまいそうだが、実際はたった210通りしかない。3桁のダイヤル錠(1000通り)よりずっと弱い。 pic.twitter.com/kq5fwqXWRL
— 上原 哲太郎/Tetsu. Uehara (@tetsutalow) September 15, 2020
わかりますか?
これは「4桁暗証番号」と最初に書いてあるので、そこに引きずられる人もいるかもしれませんが、すっぱり忘れましょう。
むしろ、銀行のATMの「4桁暗証番号」のイメージがあると、今回の「なぜ鍵が開くパターンが10,000通りではなく、210通りなのか」がわからなくなってしまいます。
それでは210通りと考える流れを説明します。
まず10個の数字「0123456789」があります。
この10個の数字から4つの数字を選ぶので、選び方は以下のような流れになります。
- 最初は「0123456789」の10個から選択します。
- 次に最初に選んだ数字以外の9個から選択します。
- 次に最初と2番目に選んだ以外の8個の数字から選択します。
- 次に最初と2番目と3番目に選んだ以外の7個の数字から選択します。
つまり選ぶパターンは10×9×8×7=5,040通りあります。
10,000通りではなく、5,040通りでしたね。でも210通りではありません。何か見落としているのでしょうか。
10×9×8×7という式ですが、これは高校の数学で習う「順列」というものです。懐かしい…。
1-1. 順列とは?
異なるn個の中から異なるr個を取り出して1列に並べる数のことです。
【高校数学】1から分かる順列と組み合わせの違い(公式&問題付き)|高校生向け受験応援メディア「受験のミカタ」
公式だとn!÷(n-r)!になるので、10!÷(10-4)!=(10×9×8×7×6×5×4×3×2×1)÷(6×5×4×3×2×1)=10×9×8×7という答えになります。
今回の鍵開けの問題は、例えば「1・2・3・4」の4つの数字を選択した時のことを鍵の気持ちになって考えるとわかります。
鍵から見たら「押された4つの数字が何か」だけで判定しているので、数字の順番は関係ありません。
つまり「1234」も「2134」も「3124」も「4321」も鍵から見たら同じなのです。
高校の数学では、先ほどの「順列」と一緒に習うのが「組み合わせ」です。
今回の鍵開けの問題は、選んだものの並び順が関係ない「組み合わせ」の方を使うことになります。
1-2. 組み合わせとは?
異なるn個の中から異なるr個とる組み合わせの数のことです。
【高校数学】1から分かる順列と組み合わせの違い(公式&問題付き)|高校生向け受験応援メディア「受験のミカタ」
先に公式を出してしまうとn!÷(r!×(n-r)!)なので、(10×9×8×7×6×5×4×3×2×1)÷((4×3×2×1)×(6×5×4×3×2×1))=5,040÷24=210通りになります。
ただ、これではわかったようなわからないような…という感じなのでアナログで考えてみます。
先ほどの「1・2・3・4」の4つの数字を選択したパターンを考えます。
数字の並びを考えて、すべて書き出してみると以下のパターンがあります。
- 1234
- 1243
- 1324
- 1342
- 1423
- 1432
- 2134
- 2143
- 2314
- 2341
- 2413
- 2431
- 3124
- 3142
- 3214
- 3241
- 3412
- 3421
- 4123
- 4132
- 4213
- 4231
- 4312
- 4321
24通りありましたね! これらはすべて重複扱いになります。
数を選ぶパターンの計算では5,040通りでしたので、重複が24通りあると考えると、5,040÷24=210通りとなります。
ちなみにツイートに出てきた3桁のダイヤル式の鍵は数字の並びにも意味があり、さらに桁のそれぞれで「0123456789」の10個の数字から選べるので、数字の選び方は10×10×10=1,000通りになります。銀行のATMの暗証番号も数字の並びに意味があるので4桁だと10×10×10×10=10,000通りになります。
なので、3桁のダイヤル式の鍵より4桁の押しボタン式の鍵はセキュリティ的には弱いということになります。
こうした数学っぽい考え方っておもしろいですね。
それでは、また。