ケーキそのものの価値を高めるだけでなく、ケーキが出てくるまでの顧客体験を最適化する


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概要 ▶ 自分たちが提供しているものは「商品」なのか、それとも「商品」を通じた顧客体験なのかを考えることが大事です。
ケーキそのものの価値を高めるだけでなく、ケーキが出てくるまでの顧客体験を最適化する

ネットショップ担当者フォーラムを読んでいたら、こんな記事が掲載されていました。


月次売上が1億円を突破したことに興味をもったのではなくCake.jpという存在を初めて知って、ケーキECってそもそもなんなんだろうと思って見てみると、どうやらオーダーメイドのケーキの配達をBtoCだけでなく、BtoBでも行ってくれるサービスらしいですね。なるほど、楽天市場などでよくあるBtoC向けのケーキ販売とは違うということですね。


ネットショップ担当者フォーラムのこの記事を読んでいくと、以下の文章が目に留まりました。

「Cake.jp」は、顧客の宿泊先でのお祝いに成功することが重要な顧客体験であると考え、提携施設へケーキを届けるだけでなく、花束など合わせて贈る商品の提案から、サプライズのための提供タイミングの調整まで顧客体験を見直し、サービスを改善してきた。

ケーキEC「Cake.jp」の月次売上が1億円突破、ブライダル向けBtoBやリピート顧客の定着などが要因(ネットショップ担当者フォーラム)


「顧客の宿泊先でのお祝い」…どういうこと?

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サービスページをよく見てみる

「宿泊先でのお祝い」について理解するために「はじめての方へ」のページをよく見てみます。


「Cake.jp」はあなたの感動サプライズをお手伝いするケーキ専門通販サイトです。

はじめての方へ | Cake.jp


後半のケーキ専門通販サイトはわかるけど、感動サプライズをお手伝いするって何?


本題とは違いますが、このページの最初の方にあるこのビジュアルに目が行きました(笑)。

肉のケーキ(笑)※生肉を模したケーキ


こんなケーキが届いたら、子どもはきっとビックリするでしょうね。


もしかして、これが書いてある感動サプライズですかね。だったらおもしろいケーキだったら、なんでも感動サプライズになるの?と疑問に思えます。


PCでこのページを見ると、肉のケーキの左側に「感動が集まる場所を もっとハッピーに!」とあります。

「感動が集まる場所」とはどこなのでしょうか?


「全国どこにでもお届け!」Eコマースでは当たり前では?

そうしてスクロールしていくと、ちょっとスルーしそうな図がありました(失礼)。それがこれ。


「全国どこにでもお届け!」←これ、Eコマースなら「当たり前」すぎて何か意味があるのか、よくわかっていませんでした。

ただ、その日本地図の右を見てみると「ご自宅へお届け!」「レストランや旅館へお届け!」、「職場へお届け!」と3つ並んでいて、私は真ん中だけ異質に感じました。

3つの印象はこんな感じです。

  • ご自宅へ:当たり前では?
  • レストランや旅館へ:え? どういうこと?
  • 職場へ:うん、あるよね、社内イベント…(うちの会社はそういうのはないけど…)


レストランや旅館は基本的に食を提供するための設備があるわけで、なぜそこにケーキを届けるの?と思ったわけです。


考えてみたら、日常的にケーキを提供しているレストランや旅館ではケーキの準備はできるのでしょうが、そうではないレストランや旅館だってたくさんあるはずです。

ましてや、よく売られているようなケーキではなく、お祝いやサプライズの場で使う個人的なメッセージが入ったケーキや、個性的なケーキについては提供が難しいことは簡単に想像できます。


レストランや旅館ではなく、街のケーキ屋さんでは、誕生日ケーキやメッセージを入れたケーキ、写真をプリントしたケーキなどを始め、個性的なケーキの提供が得意なお店もあるでしょう。

そうした一品もののケーキを手軽に(大きな投資をせずに)レストランや旅館に追加できるというのが「Cake.jp」のサービスなのだなと理解しました。


このサービスを追加することでレストランや旅館は「お祝いプラン」のオプションとして、その時だけ、そのお客様だけの特別なアイテムを提供でき(料理などはほかの利用客とはある程度共通でしょうからね)客単価のアップにも貢献できますし、同時にお客様の特別感も増すので満足度が高まることも期待できます。

普通の宿泊プランにプラスで「特別なケーキ」でも十分に訴求力はあると思うけど、提供側としては専用プランの方にさらにアップセルできた方が都合がいいのかなと…。


とはいえ、どこのレストランや旅館でも、Cake.jpのケーキの受け入れをできるわけではないので、事前に確認が必要です(お届け日・お届け先・配送についてより)


ケーキが出てくるまでの体験を最適化する

また、「ホテル・旅館 - 法人のお客様へ」というページを見ると、ホテル・旅館にケーキを持ち込んでお祝いされている方も多いようですね。

このケーキは、お客様が自分で注文したものをわざわざ持ってきて、サプライズケーキであればどこかに隠しておいて、ケーキを出すという形になるので、お客様側としても結構な手間が掛かる感じです。

これがCake.jpの仕組みで事前に注文してホテル・旅館に届けてもらい、頃合いを見てホテル・旅館のスタッフにひとこと言えばケーキを持ってきてくれるという流れになれば、手間も軽減されますし、誤ってサプライズケーキがバレてしまうこともありませんね。ホテル・旅館側としても、ケーキを変な温度管理でされて、おいしくない状態になって顧客体験が悪化したり、最悪食中毒になってしまったりするより、ある程度コントロールできた方が安心できますね。


ケーキだけで考えれば、特別なケーキをお祝いの場で楽しむということになり、ケーキそのものの価値であるおいしさや個性的なケーキというところに焦点が当たります。

しかし、そのケーキが出てくるまでの準備や物流・管理にも目を向けて顧客体験を改善することで、ケーキそのものの価値をさらに高め、お祝いの価値を高めることになります。


商品を作っている方やEコマースをしている方は、商品そのものだけでなく、その商品が使われる/提供される場面までの過程の価値を上げていくこと考えていくことも考えてみてはいかがでしょうか。

カスタマーサクセスが重要

(追記:2020/01/23)

Cake.jpを運営する会社の社長さん(高橋優貴さん)から言及がありました。カスタマーサクセス、最近あちらこちらで聞きますが大事ですよね。


カスタマーサクセスについてはHubSpotの解説が簡潔です。カスタマーサクセスは、顧客の要望を満たすのではなく、顧客の要望によって何を実現したいのかというところに視点をおいて、そこから能動的にサービスを提供することです。

カスタマーサクセスとは、文字通り直訳をすると「顧客の成功」という意味です。

受動的に顧客の要望を満たすためだけをサポートするのではなく、顧客の成功(=事業の成果)と自社の収益とを両立させる事を目指し、能動的に顧客に対して働きかけます。

カスタマーサクセスとは?カスタマーサポートとの違い|どちらを優先させるべきか?


顧客から要望がなくてもこちら側から積極的に顧客がアクションできるように働きかけを行っていくことです。

カスタマーサクセスとは?カスタマーサポートとの違い|どちらを優先させるべきか?


ケーキが欲しいから「ではケーキをどうぞ」ではなく、その周りにも着目してお客様の体験を最大化するサービスを提供することがCake.jpなんでしょうね。

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