【書評】『ソーシャルシフト 新しい顧客戦略の教科書』を読んだ感想


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概要 ▶ ソーシャルシフトの主題は「Facebookの活用をしましょう」「Facebookで儲ける」ではありません。極端な話、ITなしでも導入できます。お客様に対しての会社全体の意識改革と仕組み作りを次のステージに進めて、よりよい顧客体験を増やしましょう。

明日12月5日(夕方)に書籍『ソーシャルシフト』を執筆した斉藤徹さんが新潟で講演を行います。


書籍『ソーシャルシフト』は考え方や概念などが書かれていましたが、新作の書籍『ソーシャルシフト 新しい顧客戦略の教科書』では、読みやすい物語形式でソーシャルシフトについて説明されています。

『ゴール』などの物語形式でフレームワークを学ぶのが好きな人にはうってつけの書籍になっています。


今回私は楽天koboにて電子書籍版を購入しました。1111円(をクーポンで割引して購入)。

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●目次

目次は以下の通りです。

  • プロローグ:地元スーパーはアマゾンとどう戦えばいい?
  • 第1章:炎上発生! 止まらない誹謗中傷の拡散をどう止めればいい?
      SNS時代の「新しいリスク」とコントロール
  • 第2章:「いいね!」のためにやるんじゃない!
      顧客と向き合う「真実の瞬間」
  • 第3章:ゲリラ豪雨! 電話もメールも通じない組織をどう動かす?
      これからの「ハブ&スポーク型」の情報ネットワーク
  • インターミッション:「組織と社員の未来」を実現したホールフーズマーケット
  • 第4章:「コントロール」と「任せる」。正しいのはどっち?
      現場の声をフィードバックできる「オープンリーダーシップ」
  • 第5章:ビジネスは「現場」が9割!
      「顧客体験価値」と「社員協働」のピラミッド
  • 第6章:北欧のイケアとインドの会社。共通する「強み」とは?
      ヒト・モノ・情報すべてを変える「ソーシャルシフト」
  • エピローグ:100年続く企業をつくれ!
  • あとがき:ソーシャルシフトの三段ロケット


●ソーシャルシフトってFacebook使えってこと?

先に書いてしまいますが、ソーシャルシフトというのはFacebookを活用しましょうとか、サイトの運用をFacebookへシフトしていきましょうという話ではありません。

ソーシャルメディアという言葉をよく聞くので勘違いしてしまいますが、元々の意味に立ち戻って、ソーシャルは社会と考えてもらうとよりよい理解が進むと思います。

CSRという言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。CSRはCorporate Social Responsibilityの頭文字を取ったもので、企業の社会的責任と訳されますが、企業が企業の外部を取り巻く社会に対してどのような責任を負っていて、その責任を全うしているのかを表現したものといえます。

このSocial(=ソーシャル)と同じです。外部環境と考えても良いと思います。つまりソーシャルシフトというのは企業内部の理論でビジネスを行うのではなく、外部環境を取り込んで調和の取れたビジネスを行うようにしていくことがソーシャルシフトです。


●会社のお題目をマネージメント層・現場に落とし込んでいるか?

こうした話をハッピーマーケットというスーパーのチェーン店の例で解説しています。架空の物語ですが、実際にあるスーパーのチェーン店(カスミ)が参考になっています。

以下の画像はカスミの会社案内・環境・社会活動報告書の4ページ目ですが、こちらに明確にソーシャルシフトへの取り組みが書かれています。

20141204-書評-ソーシャルシフト新しい顧客戦略の教科書-01

さっと読んでみると、「何かどこの会社でも書いてあることのような…」という感想を持つ方も多いのではないでしょうか。

『ソーシャルシフト 新しい顧客戦略の教科書』では、このどこの会社でも書いてあることを、ハッピーマーケットという例を使いながらどのように現場レベルに落とし込むことについて書かれています。

お客様の声に耳を傾けというのは、大手スーパーなどで用意されている「お客様の声」の紙に書いてもらうということなのか否か。

第4章には次のように書かれています。

生活者の選択肢は増えたのに。私たちはハッピーマーケットを一番先に思い出してもらうことに力を注いでこなかった。

『ソーシャルシフト 新しい顧客戦略の教科書』第4章:「コントロール」と「任せる」。正しいのはどっち?

数字や効率化といった数字ではなく、まずはスタッフがお客様に会社をどのように認識して欲しいのかを全員が共有化しなければ、様々な取り組みも何のためなのか分からなくなってしまいます。上に引用した例も、「いつでも!」「全ての方に」という曖昧なものではなく「●●の時に」「(限定された)▲▲の方に」という具体的な例に落とし込んだ状態でマネージメント層や現場が事業に取り組んでいるかが重要になります。


ブログなども含めたソーシャルメディアが普及している現代では、お客様が受けた良い体験も悪い体験もメディアに書き込まれ、そしてその情報を共有(シェア)することが容易な時代となりました。様々な体験をお客様は事前に擬似的に体験することもでき、また、発掘することもできる時代になってきました。

そして、お客様の情報発信・情報拡散は会社側ではコントロールができません。これはリスクマネージメントの観点からも理解しておかなければいけない重要なポイントです。

現場が状況に対してフレキシブルに対応すること、つまり権限移譲がきちんと行われないと、顧客体験は高まりません。そして権限移譲を行って現場に任せきり、放任主義とするのではなく、現場の活動・声が社内全体に共有され、共通の問題意識・自分事として捉えられる仕組みづくり・体制作り・意識改革が必要となります。


この『ソーシャルシフト 新しい顧客戦略の教科書』では、こうした方が良いというお題目だけではなく、考えられる現場レベルでの苦悩なども描かれていますので、共感しながら読めるのではないでしょうか。むしろマネージメント層に読んで感じてもらうべきですかね?


●著者の講演会が新潟で開催されます

そんな『ソーシャルシフト 新しい顧客戦略の教科書』の著者のひとり、斉藤徹さん(株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役社長)が明日新潟で講演されるので、お時間のある方はぜひ。詳しくは以下のリンクをご覧ください。



それでは。



●余談

ソーシャルシフトはFacebookを導入しなくてもできるとした部分は大変好感を持ちました(第5章)。ソーシャルシフトにFacebookは必須ではありません(あった方が非常に便利でしょうけど)。アナログかデジタルかが大事ではなく(=道具が大事ではなく)、どのようにお客様と共に歩むかが大事ですよね。

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