Adobe Fontsのユーザー体験(UX)を改善するには、Adobe Fontsがフォント販売のプラットフォームになるべき


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概要 ▶ Adobe Fontsでユーザーが気持ちよくフォントを使ってもらい、フォントメーカーからも気持ちよくフォントを提供してもらうためのサービスを考えました
Adobe Fontsのユーザー体験(UX)を改善するには、Adobe Fontsがフォント販売のプラットフォームになるべき

2021年9月10日にAdobe Fontsからかなりの数のモリサワフォントが削除されることが発表されました。

Adobeのページを見ると、あくまでフォントメーカーの都合であるという雰囲気が感じられますね。

Adobe Fonts パートナーである Morisawa は、2021 年 9 月 10 日よりライブラリの一部のフォントの提供を停止します。

フォントライブラリのフォントは、状況に応じて提供を停止せざるを得ないことがあります(多くは、フォントメーカーからの要請に基づきます)。

2021 年 9 月に Morisawa フォントを一部提供を停止


今回削除されるフォントは「モリサワ」(Adobe Fonts)のページを見ると以下のとおりです。

  • A-OTF 太ゴB101 Pr6N Bold
  • A-OTF 太ミンA101 Pr6N Bold
  • A-OTF 中ゴシックBBB Pr6N Med
  • A-OTF 見出ゴMB31 Pr6N MB31
  • A-OTF 見出ミンMA31 Pr6N MA31
  • 漢字タイポス412 Std R
  • 漢字タイポス415 Std R
  • 漢字タイポス48 Std R
  • RoぶらっしゅStd U
  • Ro日活正楷書体Std L
  • RoサンStd M
  • Ro篠Std M
  • TBカリグラゴシック Std E
  • TBちび丸ゴシックPlusK Pro R
  • TBシネマ丸ゴシック Std M
  • TB新聞ゴシック Std M
  • TB新聞明朝 Std L
  • TBUDゴシック Std B
  • TBUDゴシック Std H
  • TBUD明朝 Std H
  • TBUD丸ゴシック Std B
  • TBUD丸ゴシック Std H
  • 游明朝体36ポかな R
  • 游明朝体五号かな R
  • 游明朝体 Pr6 R

「漢字タイポス」「TBカリグラゴシック」「TBUDゴシック」あたりはバナーなどで使っていました。使えなくなるのはとても残念です。


単に25書体削除されるだけでなく、以下の4書体の追加が「Adobe Fontsへの提供書体アップデートのご案内」(モリサワ)のページで公開されました。

  • ゴシックMB101 L
  • UD新ゴ コンデンス80 L
  • UDデジタル教科書体 R
  • 游ゴシック体 R
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Adobe Fontsはフォントラインナップが変更されるサービスである

Adobe Fontsからフォントが削除されることは今回が初めてではなく、過去にも行われています。

Adobe Fontsのユーザーガイドにはきちんとその旨が記載されています。


さまざまな事情によって、Adobe Fontsからフォントが削除されることがあり、またフォントのウェイト(太さ)の種類もかなり限定された場合が多いので「仕事では使ってはいけない」(※)「あくまで見本でしかない」といったことを言われることがあります。

※これは別途フォントが自分の意志とは無関係にアップデートされることもあるので、その場合のデザイン崩れや文字の変更が発生しても誰も責任を取ってくれないという点で言われることもありますが、今回はその点はスルーします


私も、今の現状では確かにそのとおりで、いつフォントが削除されるかわからないといった状況がデザイン制作を行う上で、非常に危なっかしい状況だと感じます。

このように不安定なAdobe Fontsをユーザーは積極的に使っていこうと思うでしょうか?

Adobeはユーザーに不安定な状況でデザインをしてもらいたいのでしょうか?(※2)

Adobe Fontsのモリサワのページには2021年5月18日現在、以下の記述がありますが、わざわざAdobeとは別の会社と契約をしなければならない面倒くささをユーザーに押しつけています。これはフォントを使うユーザー体験を大きく損ねています。

これらのフォントの提供が停止された後もこれらのフォントの利用を継続するには、 恒久ライセンス付きのフォントをご購入いただくか、 Morisawa PASSPORT サブスクリプションを Morisawa の web サイトからご購入いただく方法があります。

モリサワ | Adobe Fonts

Adobeは「ユーザーに安心して気持ちよくデザイン制作を行ってもらいたい」と考えているはずです。

※2:Adobeアプリがバグが多くて不安定だというのはここではスルーします

ユーザー・フォントメーカー・Adobe共にメリットがあるサービスにするには

Adobe Fontsからのフォントの削除が提供フォントメーカーの売上やマーケティングで問題・課題があるとすれば、フォントメーカーにメリットがあれば、より持続性が高いサービスになるはずです。

また、ユーザーに気持ちよくフォントを使ってもらうことも重要です。


それらを実現するにはどうしたらよいのでしょうか。

私が考える方法は、Adobe Fontsを試用可能な有償のフォントのモール(マーケットプレイス)にして、さらにAdobeアプリ(もしくはAdobe Fonts)をフォントのマーケティングツールにすることです。

例えば以下のようなサービスです。

  1. 各フォントメーカーは提供できるフォントを可能な限りAdobe Fontsに登録してもらう
  2. ユーザーは使いたい好きなフォントをアクティベートする(試用できるアクティベート数は30書体などの上限を設ける)
  3. アクティベートしたフォントは一定の期間(例えば30日間)試用できる
  4. 試用期間後に継続して使いたい場合は、アクティベートフォント数に応じて毎月料金をAdobeに支払う有償契約をする
  5. Adobeは有償契約されたフォントに応じて各フォントメーカーに収益を分配する
  6. Adobeは使用されているフォントの使用状況をマーケティングデータとして各フォントメーカーに提供する
  7. AdobeはAdobe Fonts内の表示順位を使用状況やフォントメーカーのPRなどによりコントロールする
  8. Adobeは外部サイトのフォントに関するターゲティング広告のプロバイダーとしてサービスを提供する


念のため書いておきますが、私の考えている方法であって、現時点でAdobe Fontsがフォントの使用状況を獲得しているわけではありません(実際のところは不明)


ユーザー・フォントメーカー・Adobeのそれぞれのメリットは以下のとおりです。

  • ユーザー:微妙なフォントラインナップの中から選ぶのではなく、フルラインナップに近いフォントラインナップから選択できる。フォントメーカーの都合に左右されにくくなる。
  • フォントメーカー:フォントの宣伝広告をAdobe Fontsのプラットフォーム上もしくは外部サイトで行え、人気のあるフォントをより多く提供できれば継続的な収益となる。
  • Adobe:より多くのフォントをユーザーに提供でき、フォント販売のプラットフォームとなり、ユーザーとのエンゲージメントを強固にできる。


それぞれのデメリットとしては以下のとおりです。

  • ユーザー:現在のAdobe FontsはAdobe Creative Cloudの利用料金だけでよいが、この仕組みでは別途費用が掛かる。使用状況などの情報がAdobeに送信されてなんとなく気持ち悪く感じる。
  • フォントメーカー:自社が提供するフォントサービスの契約より利幅が減る
  • Adobe:システムが複雑になる

Adobe Fontsはユーザーとフォントの出会いを助けるプラットフォームになるべき

フォントメーカーの方はこう言うでしょう。

「(Adobe Fontsではなく)自分たちの提供するフォントサービスを使ってもらえば、適正な利益も確保できる」


でも、それってユーザーが安くはない契約をしてくれれば……ですよね。顧客獲得のためのリーチの拡大で必要な広告やマーケティングといった顧客獲得コストを考えたら、どうなんでしょうか。

またフォントメーカーはデザインアプリで自社のフォントがどのように使用されているかといった情報は持ち得ません。マーケティングのためのユーザーのインタビューや使用状況を自分たちで調査するためのコストはどうでしょう。

もしそれらがAdobe Fontsのプラットフォームで解決できるなら、より適正な利益を確保できるかもしれません。


これは私の想像でしかありません。


でも、私は今、楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazonなどのショッピングモール(ショッピングプラットフォーム)と独自ECサイトを運営していて思うところがあります。

独自ECサイトで購入してくれる人は、販売しているブランドや価値を既に理解しているロイヤルティーが高い人だと言えます。販売しているブランドを知らない人がふらっと独自ECサイトにたどり着いて購入するというのはほとんどありません。

対して、楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazonなどのショッピングモールでは、モール内検索の結果やモールのレコメンドなどによって、ブランドを知らなくても購入するケースが多いです。


フォントも同様だと私は考えます。

フォントメーカーが提供する独自のフォントサービスはさきほどの独自ECサイトと同じく、そのブランド(=フォント)を既に知っている人が契約するものです。

Adobe Fontsがショッピングモールのようにフォントモールとなるのであれば、さまざまな方法でユーザーにリーチできるので、フォントやフォントメーカーを知らなかった人が契約することがあると考えます。


私の単なる想像で妄想ですが、Adobe Fontsのサービスがユーザーとフォントの出会いの場、契約の場になれば、ユーザー・フォントメーカー・Adobeのお互いにメリットがあるように思えます。

みなさんはどう考えますか?