PDF/Xは誰のため?


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概要 ▶ 「PDF/Xは誰のためのフォーマット?」と聞かれたら「製版会社・印刷会社のためのもの」だと答えるだろう。PDF/X-1aだろうが何だろうが、PDF形式でフォントの埋め込みがされていて、カラーはCMYK(+特色)で変なトランスファとかハーフトーンが入っていなくて画像は実画像で外部リンクはない状態といった、しっかりしたものであれば入稿される側としてはあまり問題ないように感じる。問題ないように感じるとい
PDFアイコン「PDF/Xは誰のためのフォーマット?」と聞かれたら「製版会社・印刷会社のためのもの」だと答えるだろう。

PDF/X-1aだろうが何だろうが、PDF形式でフォントの埋め込みがされていて、カラーはCMYK(+特色)で変なトランスファとかハーフトーンが入っていなくて画像は実画像で外部リンクはない状態といった、しっかりしたものであれば入稿される側としてはあまり問題ないように感じる。問題ないように感じるというのは実際に様々なお客様のデータを触ってきて思った実際の経験からだ(※)。

PDF/X-1aは確かに優れた「フォーマット」である。が、営業窓口とPDF/X-1aの入稿を巡って色々と問題があることに気づいた。

PDF/X-1aは単なるフォーマットであるが、ワークフローから考えると、上流から下流への流れで逆戻りしない「一方通行の流れ」だというのはPDF/X-1aの解説セミナーなどで聞いたことがあるかと思う。つまり制作者側の手を離れたデータは、ストレートに製版・印刷・製本・出荷されるということだ。途中の工程にいる製版会社・印刷会社・製本会社などはそのデータにはノータッチで進行していく。とても制作者の意図を反映したワークフローだ。

しかし、逆に製版する工程ではデータは見る必然性がないわけなので、一気に製版される。つまりデータに関してはノータッチで進行するということなのではないか。
日付・曜日・文字や文章上の明らかな間違いなどの内容的な問題がない、十分な断ち落としがある・折り工程のことを考えている・インキ総量が多すぎないといった後工程のことを考慮したデータ作りになっているかどうかはPDF/X-1aの要件には入ってはいない。PDFのワークフロー上の理念としてのストレートに流すということを考えると、そんなことは「大した問題ではない」と言われるかもしれない。しかし、後工程のものからすれば非常に大きな問題であることが多い。こうした部分の能力・知識まで制作者に要求できるかどうかがPDFのワークフローの重要な点であるといっても良いだろう。

PDF/X-1aという規格は素晴らしいものであることには間違いないが、データとワークフロー(製版・印刷・製本)の整合性までを考慮しているわけではない。PDF/X-1aのデータだから安心して製版・印刷・製本ができると思っているとしたら考えを改めた方がよい。制作者の能力相応の商品(印刷物)ができあがってくるだけでしかないのだ。今までの半「完全データ入稿」のような「次行程で何とかしてくれる」(不完全なデータを修正してくれる)という考え方はPDF/X-1aのワークフローでは存在しない。

そのようなワークフローを本当に制作者側が本当に望んでいるかどうかは営業窓口的には定かではない。(一方通行のワークフローはコストメリットは生めると思うが…)


【余談】

PDFといえばPAGE2004[jagat.or.jp]のセミナーでこのようなことが書いてあった。

PDF/Xの普及は、お客様にとっても印刷会社にとっても、新たなワークフローへの挑戦ではないでしょうか?
PAGE2004セミナー 印刷PDF Day


確かにPDF/X-1aの普及は挑戦である。今までの流れの延長線で考えると制作者側と製版・印刷・製本側とで話がずれるかもしれない。新しいものだから、仕切り直しでお互いきちんとコミュニケーションを図らないと失敗することになると思う。

【参考】
●[1040]印刷用途向けPDF規格「PDF/X」について



(※)確かにデータは存在する。ではPDF/X-1aであればその問題は解決するのか?PDF/X-1aはAcrobat Distillerを通さないとできないわけではない。このため良く雑誌にある「一度(Acrobat Distillerで)RIPされているから安心」というのは本来的には誤りではないのだろうか。Acrobat Distillerを使用したPDF/X-1aという限定条件付きなら同意するのだが…。(Ghostscript PDF(というか何でも良い)→PitStop→PDF/X-1aは可能ですが、こんなPDF/X-1aデータでいいのかな?)

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