会津の鶴ヶ城プロジェクションマッピング「はるか」の撮影動画を見て手段が目的化したと感じた


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概要 ▶ 福島県会津の鶴ヶ城のプロジェクションマッピングは行うチャレンジはナイスですが、プロジェクションマッピングの特性を出しておらず、単なる大きなスクリーンに映し出しただけの映像のように見えました。
201303110-鶴ヶ城プロジェクションマッピング「はるか」-00
出典:鶴ヶ城プロジェクションマッピング「はるか」


Facebookで鶴ヶ城のプロジェクションマッピングの写真がアップされていて、隣の県だし、ちょっと行ってこようかな…と思ったけど、YouTubeの動画を見て、行くのをちょっと躊躇した話。


まず、プロジェクションマッピングとは何なのかということですが、ニコニコ大百科から引用します。
プロジェクション・マッピングとは、物体に映像を投影する表現手法のことである。

概要

ビデオやCGなどの映像を、プロジェクターによって直接建造物・自然物などを含めた立体物に投影する。しばしば「最先端」と呼ばれる新しい表現手法である。

周囲を暗くし、投影する距離や角度を緻密に計算することによって、あたかも投影されている物体そのものが発光していたり、形が変わったり、透けたりしているかのように見せることができる。特に建造物などの大規模なものは圧巻で、音楽や効果音が加わることによって空間そのものをデザイン・演出してしまう。その仮想と現実が入り交じったような迫力のある映像には思わず見入ってしまうだろう。
プロジェクション・マッピングとは (プロジェクションマッピングとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
ということで、スクリーンではなく、物体に映像を映し出すところが新しいとされています。


プロジェクションマッピングで有名な所としては2012年9月の東京駅のプロジェクションマッピングでしょうか。これは圧巻でしたね。何度も動画を見てしまいました。

出典:TOKYO STATION VISION 東京駅プロジェクションマッピング - YouTube



それで今回の会津の鶴ヶ城のプロジェクションマッピングですが、見た動画は次のものでした。

出典:ふくしま 会津 鶴ヶ城 プロジェクションマッピング 「は る か」 - YouTube


見た印象は「…うーん…」という感じでした。

確かに鶴ヶ城という巨大建造物に映像を映し出すというチャレンジはおもしろいですし、皆が皆、東京のプロジェクションマッピングみたいなものを知っているわけではないので、今まで見たことがないすごいものを見たという感動を与えられるので、その点は良いと思います。


ですが、今回この鶴ヶ城のプロジェクションマッピングの動画を見て、ちょっと腑に落ちなかったのかというと、

  • 鶴ヶ城の形を活かしていない
  • 鶴ヶ城ならではの映像なのかがわからない
  • 立体感がない

という点だと思いました。

端的に言うと、単なる大きいスクリーンに映しても同じだったのではないかと…。


先程の東京駅のプロジェクションマッピングですが、冒頭で駅の窓の明かりが点いたようになり、そこを駅を往来する人の影が映るという駅の形と駅の役割そのものを映像で表しています。
プロジェクションマッピングを知らない人でも、見た瞬間に「あれ、明かりが点いたのかな?」くらいの感覚で映像に入り込むことができます。
まさに駅でなければならない映像です。
201303110-鶴ヶ城プロジェクションマッピング「はるか」-01
出典:TOKYO STATION VISION 東京駅プロジェクションマッピング - YouTube


東京駅の中心の上部にある窓を指で操作するシーンの映像ですが、東京駅の形を知っているからこその遊びといえるのではないでしょうか。
ボタンのように押したり、ダイヤルの様にひねって回したりと、窓をそういう風に表現してしまうのかという楽しさがあります。
201303110-鶴ヶ城プロジェクションマッピング「はるか」-02
出典:TOKYO STATION VISION 東京駅プロジェクションマッピング - YouTube


途中雪のようなものが降るシーンも良いのですが、影の表現をうまく利用した立体の強調なども形を活かした表現ではないでしょうか。
201303110-鶴ヶ城プロジェクションマッピング「はるか」-03
出典:TOKYO STATION VISION 東京駅プロジェクションマッピング - YouTube


こうしたものが鶴ヶ城のプロジェクションマッピングには欠けているように思えます。


鶴ヶ城のプロジェクションマッピングでは桜にフォームを当てていますが、桜が舞ったり散ったりする映像が「鶴ヶ城の形のせいで切り取られている」様に見え、一部しか見えない印象を受けました。
鶴ヶ城の形が悪い方向に出ている、とも言えます。

また、角や縁を光らせるのは東京駅のプロジェクションマッピングでもありましたが、鶴ヶ城のプロジェクションマッピングは良くわからないタイミングで縁が光ったりしています。光ればいいというものでもないでしょう…。


映像も平面的で、平らなスクリーンに映し出しても良いのではという内容でした。
ニコニコ大百科の解説にあるように「投影する距離や角度を緻密に計算することによって、あたかも投影されている物体そのものが発光していたり、形が変わったり、透けたりしているかのよう」な感じは受けませんでした。


(未来へのメッセージもなんだか良くわからなかったし…)


というわけで、今回の鶴ヶ城のプロジェクションマッピングは新しい映像技術への取り組みはナイス!でしたが手段が目的化してしまったのが残念!といったところでしょうか。


それでは。


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