Re:妻、嫁、奥さん、家内……正しい呼び方は?/10個の辞書を引いて見比べたまとめ


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概要 ▶ All Aboutのページで「妻、嫁、奥さん、家内……正しい呼び方は?」という記事がありました。「妻」「嫁」「奥さん」「女房」など、言葉の違いはあまり気にしたことはありませんでしたが、記事を読んでいくと、実は違いがあることがわかります。なので、様々な辞書を引いてみました。
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All Aboutのページで「妻、嫁、奥さん、家内……正しい呼び方は?」という記事がありました。

自分の妻のことを「うちの嫁は……」、「うちの奥さんは……」など、いろんな呼び方をするけれど、正しいのはどれでしょう?!今回は「男も学ぶ一般常識」、正しい呼び方を考えてみました!
妻、嫁、奥さん、家内……正しい呼び方は? [男の子育て] All About
自分の妻や相手の妻のことをどう呼ぼうと、親しい間柄では気にする必要もないのかもしれません。ですが、例えば相手が上司や取引先、お客さまとなると一般常識を心得ていた方が無難ですよね。
辞書を引いてみると、このようになります。
2/3 妻、嫁、奥さん、家内……正しい呼び方は? [男の子育て] All About

「妻」「嫁」「奥さん」「女房」など、言葉の違いはあまり気にしたことはありませんでしたが、記事を読んでいくと、実は違いがあることがわかります。
この記事では辞書を引いてみると…という感じで、イメージ画像に『新明解国語辞典』(第六版)が掲載されていました。
ということは、『新明解国語辞典』を引いてみたということなのだと思います。


『新明解国語辞典』は私も使っていて、なかなか解釈や例文がユニークな辞書です。ちょっと個性的なので、この辞書以外の辞書も引いておいた方が良いな…という勘が働きました(笑)。
ついでなので、様々な辞書を引いてみました。


今回調べた辞書は国語辞典と類語辞典で、辞書名は以下の通りです!
  • 『日本国語大辞典』(第二版/小学館)
  • 『大辞泉 増補・新装版』(デジタル大辞泉/Yahoo!辞書/小学館)
  • 『新明解国語辞典』(第五版/三省堂)
  • 『新潮国語辞典』(第二版/新潮社)
  • 『広辞苑』(第四版/岩波書店)
  • 『岩波国語辞典』(第五版/岩波書店)
  • 『大辞林』(CD-ROM版/1993年版/三省堂)
  • 『類義語辞典』(第30版/東京堂出版)
  • 『使い方の分かる類語例解辞典』(第一版/小学館)
  • 『類語大辞典』(初版/講談社)

さて、各辞書でどのような違いがあるのでしょうか。


【注意】以下の辞書からの引用は例文を省いています。(1)などは全て①に統一し、改行を加えている部分もあります。また、現代語としての意味の部分と、いわゆる男女的・夫婦的な意味の部分の所だけを引用しています。

『日本国語大辞典』(第二版/小学館)

妻:①(ロ)男性にとって妻、恋人である女性。②婚姻関係にある女性。特に法律では、婚姻届の出された正式の女性だけをさし、内縁関係にある女性は含まない。
嫁:①息子と結婚してその家の一員となった女性。子息の妻。②妻。妻女。女房。また、結婚した当座の女子の称。③単に妻を呼んでいう。人妻。
奥さん:(「おくさま(奥様)」の変化した語)「おくさま」より少しくだけた言い方。現在、一般に最も広く用いられる。
奥さま:公家(くげ)の内室、大名の正妻など、身分のある人の妻を敬って呼ぶ語。のちには上流の武家や富商の妻などにもいい、現在では広く一般に用いられる。また、使用人などがその家の女主人を敬って言う語。奥御(おくご)。奥。
家内:②妻。自分の妻を謙遜していう場合が多い。
かみさん:②身分のあまり高くない、主として商人や職人などの妻。それらの主婦。また、女主人。 ③自分の妻を、親しい間柄でいう。
細君:①他人に対して、自分の妻をいう語。 ②(転じて)他人の妻をいう。
女房:③中世以後、妻をいう。妻女。近世には、自分の妻を呼ぶとき「女房ども」ともいう。現代では、多少とも卑しめた気持をもっていい、自分の妻のことをいう場合に多く用いられる。

『日本国語大辞典』(第二版/小学館)

全13巻の巨大国語辞典。調べるのも大変だったわ…。

「妻」は①で「男性にとっての妻、恋人である女性」とあって、用語解説の中にその用語自体があるというループ構造になっているのが気になります。②では一般的な意味ですね。「内縁の妻」とは言わないことが分かります。
「嫁」は息子の妻、という意味もありますが、単なる妻のことを指すこともあるようですね。
「奥さん」は「奥様」のくだけた表現ですが、いずれにしても「他人の妻」を指す言葉だと分かりますね。



『大辞泉 増補・新装版』(デジタル大辞泉/Yahoo!辞書/小学館)

妻:①配偶者である女性。
嫁:①結婚して夫の家族の一員となった女性。②息子の妻となる女性。③妻。また、他人の妻をいう語。
奥さん:他人の妻を敬っていう語。「おくさま」よりややくだけた言い方。
奥さま:①他人の妻を敬っていう語。②女主人を敬っていう語。使用人などが使う。
家内:①家の中。屋内。②家族。③妻。ふつう、他人に対して自分の妻をいうときに用いる。
かみさん:①商人・職人などの妻、また、その家の女主人を呼ぶ語。
細君:①親しい人に対し、自分の妻をいう語。②同輩以下の人の妻をいう語。
女房:①妻のこと。多く、夫が自分の妻をさしていう。にょうぼ。

『大辞泉 増補・新装版』(デジタル大辞泉/Yahoo!辞書/小学館)
Yahoo!辞書のページから。

「妻」は法律的な意味の女性の事だけがシンプルに書いてあるようです。
「嫁」は①と②から男性の家系から見た女性という意味が強いようです。もちろん単なる妻という意味もあるようですね。
「奥さん」「奥様」でははっきりと「他人の妻」と書いてありますね。



『新明解国語辞典』(第五版/三省堂)

妻:配偶者としての女性。女房。
嫁:息子の配偶者として、その家に迎え入れられる女性(ること)。〔狭義では、新婚のそれを指す〕⇔婿
奥:〔もと、めったに他人に会ったりしない、士分以上の人の妻の意〕夫人。
家内:その家で生活する人たち(全員)。〔狭義では、主人の妻(の謙称)〕
かみさん:「おかみさん」の簡略表現。
おかみさん:①商店などの主婦 ②「妻・細君」の意の口語的表現。かかあ。
細君:①自分の妻 ②他人の妻。〔おもに同輩以下に使う〕
女房:〔もと、「女官の部屋」の意〕古くは宮中の官女や貴族の侍女を指し、後、広く庶民の妻を指す言葉。

『新明解国語辞典』(第五版/三省堂)
※士分:武士の身分/謙称:けんそんした言い方。

手許にあるのが第五版なのでこの版から。

「妻」は法律的な意味の女性の事を書いているようです。
「嫁」は「息子の配偶者」と親から見た女性が表現されているようです。
「奥さん」「奥様」は項目がなく、「奥」の例文で出てきます。身分が高めの人の妻という意味でしょうか。



『新潮国語辞典』(第二版/新潮社)

妻:夫のある婦人。男性との法律上の婚姻をした女性。
嫁:①息子の妻。 ②結婚した当座の女の称。また、結婚した女。妻。
奥:貴人の妻の称。
奥様:他人の妻の敬称。奥方。
奥さん:「おくさま」のややくだけた言い方。
家内:③他人に対して自分の妻をいう語。家妻。
かみさん:職人・商人など身分の高くない人の妻の称。また、一般の家の妻の称。おかみさん。
おかみさん:人の妻の敬称。多く中流以下にいう。おかみさま。
細君:自分の妻の謙称。転じて、他人の妻をもいう。
女房:③婦人。女。 ④妻。

『新潮国語辞典』(第二版/新潮社)
大学時代に学科で使用していた辞書から。

「妻」は法律的な意味で婚姻状態にある女性として表現されています。
「嫁」は①では「息子の妻」となっていますが、②で「結婚した女」と言のが指す範囲が大きくなっています。
「奥さん」「奥様」は「他人の妻」とはっきり書かれていますね。



『広辞苑』(第四版/岩波書店)

妻:①配偶者の一方である異性。(イ)結婚している男女間で、互いに相手を呼ぶ称。男女どちらにもいう。また、第三者からいう場合もある。(ロ)転じて現在では、夫婦の一方としての女。おっと。
嫁:①息子の妻。 ②結婚した当座の女子の称。新婦。 ③嫁した女。妻。人妻。
奥様:①諸家堂上方に武家から嫁した夫人。身分高い家の主婦。奥方。 ②他人の妻の尊敬語。奥方。 ③奉公する家の主婦。
奥さん:「おくさま」より軽い尊敬語。
家内:②他人に対して自分の妻をいう語。家婦。
かみさん:②商人・職人などの主婦。気安い場合など、一般の家の主婦を呼ぶのにも用いる。
細君:①他人に対して、自分の妻をいう語。 ②転じて、他人の妻をいう語。
女房:⑤妻。内儀。にょうぼ。

『広辞苑』(第四版/岩波書店)
かなり古い版の広辞苑ですが、手許にあるものから。

「妻」の①(イ)は古典的な意味ですね。(ロ)の「夫婦の一方としての女」は記述・ニュアンスが他の辞書と違いますね。(夫婦が法律的な意味を含むのかは定かではありませんが…)
「嫁」は①で「息子の妻」が出てきますが、結婚した女性全般も表現されています。
「奥さん」「奥様」は「他人の妻」とはっきり書かれています。



『岩波国語辞典』(第五版/岩波書店)

妻:①配偶者である女。⇔夫。
嫁:①むすこの妻。 ②新婚の女性。⇔婿
奥様:①他人の妻の敬称。 ②女主人。雇われた人の立場から言う。
奥さん:おくさま。「おくさま」より敬意が薄い。
家内:③(自分の)妻。
かみさん:商人・職人などの妻。
細君:①他人の妻をさす語。主に同輩以下の場合に使う。②の転。 ②他人に自分の妻を言う語。けんそんの言葉。
女房:①妻。家内。

『岩波国語辞典』(第五版/岩波書店)
「妻」は法律的な意味で婚姻状態にある女性として表現されています。
「嫁」は①で「むすこの妻」②「新婚の女性」とあって、結婚した女性全般を表してはいないようです。
「奥さん」「奥様」は「他人の妻」とはっきり書かれています。
「かみさん」はこの辞書では職業限定となっています。



『大辞林』(CD-ROM版/1993年版/三省堂)

妻:〔「つま(夫)」と同源〕①[1]配偶者である女性。⇔おっと
嫁:①息子と結婚して、その家の一員となった女性。息子の妻。 ②結婚する相手の女性。⇔婿
奥様:①他人の妻を敬っていう語。もと、公家(クゲ)・大名などの正妻をいったが、のち一般の武家・商家でもいうようになり、現在は、広く一般に用いられる。 ②召し使いなどが、女主人を敬っていう語。
奥さん:〔「おくさま」の転〕他人の妻を敬っていう語。〔「おくさま」より少しくだけた言い方。現在は広く一般に用いられる〕
家内:③他人に対して自分の妻をいう語。
かみさん:①商人・職人などの主婦をいう語。また、親しい間柄では、自分の妻をいう場合もある。
細君:①ごく軽い敬意をもって、同輩または目下の人の妻をさす語。 ②親しい間柄の相手に対して、自分の妻をいう語。
女房:〔「房」は部屋の意。女官の部屋が原義〕①妻。自分の妻のことをいう場合に多く用いられる。にょうぼ。

『大辞林』(CD-ROM版/1993年版/三省堂)
個人的に好きな辞書。

「妻」は法律的な意味で婚姻状態にある女性として表現されています。
「嫁」は①で「息子の妻」と書かれていますが、②で結婚した女性全般を表現しているようです。
「奥さん」「奥様」は「他人の妻」とはっきり書かれています。



『類義語辞典』(第30版/東京堂出版)

つま 夫人・おくさん・女房・家内・細君・かかあ

「夫人」「おくさん」は、他人の「つま」についての敬称。
逆に「女房」や、特に「かかあ」は、「つま」に対する軽べつをふくんでいて、相手の「つま」にはいわないのがふつうだ。
「家内」は自分の「つま」をへりくだっていうことば。
「細君」も元来はへりくだった表現だったが、いまでは他人にもいう。ただし、同僚とか目下のばあいが主で、敬意はふくまれていない。
「つま」は以上の説明からはどんなばあいにも使えそうで、実際いちばん抽象的な表現だが、実際には、ことに口頭語では、自分あるいは身内の配偶者についてしか使わない。

『類義語辞典』(第30版/東京堂出版)

「君の所の女房は…」というと軽い軽蔑を含むことが分かります。


※「嫁」の項目を見てき忘れたので後で調べて追記します。


『使い方の分かる類語例解辞典』(第一版/小学館)

309-03 妻/家内/女房/細君/かみさん/ワイフ
共通する意味:夫妻のうちの、女性の方。女性の配偶者。

①「妻」は、夫に対して、女性の配偶者をさす語として最も一般的。法律関係や報道などでも広く使われる。夫自身が「つま」というのはわりあい新しく、明治のころには「さい」という方が多かった。
②「家内」は、夫が自分と同等または目上の相手に対して自分の配偶者をいう。やや丁寧な語。
③「女房」は、一般的な語。「かみさん」は、ややくだけた言い方。両語とも、夫が同僚、友人など、対等で気のおけない相手に対して自分の配偶者をいう語。また、親しい人の配偶者を話題にしていうこともある。
④「細君」は、男性が他人(自分の同輩以下が多い)の配偶者をいうやや古めかしい語。自分の配偶者をもいったが、現在では他の人の配偶者をいう場合が多い。


309-05 奥様/奥さん/夫人/奥方
共通する意味:他人の妻をいう尊敬語。

①「奥様」「奥さん」は、第三者をさす場合にも、話し相手として直接呼びかける場合にも使う。「奥様」のくだけた表現が「奥さん」で、軽い敬意をこめた言葉として広く一般的に使う。

『使い方の分かる類語例解辞典』(第一版/小学館)
書き方がわかりやすい辞書。

「妻」は法律的な意味で婚姻状態にある女性として表現されています。
「女房」は知った相手でなければ使わない言葉と言えそうです。
「奥さん」「奥様」は「他人の妻」とはっきり書いてあります。



『類語大辞典』(初版/講談社)

妻:連れ合いのうちの女のほう。⇔夫
嫁:息子の妻として自分の家に迎え入れる女性。
奥様:「他人の妻」の、軽い敬意を込めた言い方。◇「これは奥様によくお似合いですよ」のように、店員などが「既婚とおぼしい成人女性」である相手を指すのにも多く使われる。
奥さん:「奥様」のくだけた言い方。◇「既婚とおぼしい成人女性」である相手に対する呼びかけとしても多く使われる。
家内:①「ある家の主人である自分の妻」をひかえめにいう語。 ②「ある家の主人である人の妻」が、自分のことを指すのに使う語。
かみさん:「妻」の、敬意を込めない言い方。
細君:①「自分の妻」を謙遜していう語。◇妻が脇にいるときに、「これは(私の)妻です」のようにはいうが、「これは(私の)細君です」とはいわない。 ②他人の妻。特に、目下の人の妻にいう。
女房:①「妻」の、あまり敬意を込めない言い方。 ②「ある人の妻」が、自分のことを指すのに使う語。

『類語大辞典』(初版/講談社)
「妻」を「連れ合いの…」と書いてあるので法律的な意味を含まない可能性もありますね(内縁の妻もOKという認識かもしれません)。
「嫁」は「息子の妻」という意味のみ書かれています。
「奥さん」「奥様」は「他人の妻」とはっきり書いてあります。
「細君」は妻が脇にいるときに妻を紹介するときに使わないというのは確かにそうだなと思った。
「女房」は敬意があまりないようですので、「(他の誰か)の女房」と言うときには注意が必要です。



まとめ

「妻」は主に法律的な意味で婚姻状態にある女性のことを指します。(内縁の妻は限定的な書き方の可能性があります)

「嫁」は「息子の妻」だけを指す場合もありますが、現在では「単なる妻」を指す言葉としても使われているようです。

「奥さん」「奥様」は「他人の妻」のことを指します。このため「私の奥さん」とは言いません。

「女房」は敬意が少ないため、使い処には注意が必要かもしれません。



どうですか?
違いが少しでも感じてもらえたなら嬉しいですね。
それでは。

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