音楽は無料のYouTubeでという考えに対し書籍はどのようなビジネスパターンを考えるべきか


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概要 ▶ YouTube logo by RegoFacebookのフィードを見ていてこんな書き込みが目にとまった。音楽って基本youtubeで無料でいいんじゃね。音質のいいのを聞きたい人、ライブに行きたい人はお金を払うって感じで。音楽って基本youtubeで無料でいいん...よくある提案ではある。【そこそこの音質】YouTubeで提供する。【より音質が良いもの】欲しい人はアップグレード料金を払ってもらう。
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Facebookのフィードを見ていてこんな書き込みが目にとまった。

音楽って基本youtubeで無料でいいんじゃね。音質のいいのを聞きたい人、ライブに行きたい人はお金を払うって感じで。
音楽って基本youtubeで無料でいいん...

よくある提案ではある。
  • 【そこそこの音質】YouTubeで提供する。
  • 【より音質が良いもの】欲しい人はアップグレード料金を払ってもらう。
  • 【別の体験をしたい】YouTubeは撒き餌でライブで稼ぐ。
いわゆるフリーミアムというものだ。

このパターンの話って音楽業界の例しか聞かないし、ないのかな、と思っているとクリス・アンダーソン著『フリー』には音楽業界以外にも航空料金・車・講演会(←TEDの話)・大学の授業例の他、様々な例が載っている。


これが書籍の文章書き・ライターだったらどうなるのかを考えてみた。

書籍『フリー』では

実は書籍『フリー』ではP211から「無料書籍」の見出しで出版物についての無料提供について書いている。


そこで音楽と書籍では大きな違いがあるとしている。

音楽との大きな違いは、書籍ではほとんどの人がビットではなくアトムでできた本を高く見ている点だ。コスト面のデメリットはあるが、木からつくる紙にインクをつけたものはいまだに電池の寿命、画面解像度、そして携帯性の点ですぐれているし、本棚に並べた姿はすてきだ。
『フリー』(クリス・アンダーソン著/NHK出版) P211

※ビット:デジタルデータ/アトム:物質的な物


表示デバイス・再現デバイスの問題が音楽業界の成熟度程ではないために、そのデバイスの問題点がまだあると指摘している。確かに現時点ではその通りだ。
まだまだ電子書籍の再生デバイスは携帯性や耐久性などの面で改善の余地が大きい。


書籍でフリーミアムモデルを考えると

そうであるならば、先ほどの「音楽の無料提供はYouTubeで」というのは書籍の世界ではどうなるか。


以下の様になるのではないだろうか。

  • 【そこそこ品質】組版されたデータを元に画像化したものをFlickrで提供(※1)
  • 【より品質が高いもの】欲しい人は書籍自体・PDFを購入・電子書籍アプリを購入(※2)
  • 【別の体験をしたい】書店で開かれる著者のサイン会・講演会など
(※1)InDesignなどの組版ソフトウェアで組まれたデータをPDF化→AcrobatなどでJPEG画像書き出し
(※2)PCやタブレットでPDFは電子書籍ではないとする意見もあるが、組版・フォント・ページなどを担保し、制作者が意図した表現の再現ができるのはこの形式が現実解。電子書籍アプリは組版エンジン・フォントを搭載しているものもあるので、制作者が意図した表現の再現ができる。


画像化された書籍は言ってしまえばPCのウェブブラウザでウェブのテキスト読んでいるものとあまり変わらない品質で提供するということ。拡大しても読みやすくなるわけではない。


こうすることで「紙の書籍の読みやすさ」「デジタルデバイスでの読みやすさ」に対してお金を払ってもらうというパターンが成立するのではないか。

デジタル立ち読みで数ページを読ませるパターンというものは、現在でも多く見ることができるが、全てのページが読めるという事例を私は見たことがない。数ページの立ち読みはフリーミアムではない。全て読めてこそフリーミアムと言える。
もし音楽業界が成功するのであれば、書籍業界でも、同じような事例が出てくる可能性がある。私はこのような事例が出てくることを期待している。


なぜ文章を画像で提供するのかという補足

※1のところで組版されたデータを元に作るとあるが、これをHTMLやEPUBで提供したらよいのではという指摘もあるだろう。

しかしHTMLやEPUBでの提供は手間が掛かるし、文字が正しく表示されるかという担保がない。文字が正しく表示されないなら意味が無い。

YouTubeで音楽を聴くと きに、「ラ」の音が「シ」の音で聞こえて、次の「シ」の音が「無音」で聞こえたら意味が無いのと同じだ。こう書くと文章で使う文字や表現を誰にでもセーフな範 囲で書けば良いという意見もあるだろうが、音楽業界で「誰にでも問題なく聞ける音量で歌ったり演奏して下さい」ということをアーティストに言わないだろう。それをなぜライターに対して求めるのか私はわからない。


また、「音楽の無料提供をYouTubeで」というものと合わせるために、よりよいものの【そこそこの品質】の再現度にするためにこのような提案を書いた。同じ商品で品質違いのものが無料で手に入る、という点がポイントだ。《HTML・EPUB》→《書籍・PDF》ではあまりにも「ものが違い過ぎる」と感じているので、別のカテゴリーとして扱わなくてはいけないと考えている。


書籍というモデルではなく、内容に対してのモデルであれば、情報に対してのフリーミアムを考えなくてはならないので、現在津田大介さんなどが行っている有料メールマガジンといった手法や有料のSNS・会員制ページなども取り入れるべきだろう。


なお、私は印刷会社勤務なので紙の書籍がなくならない、紙の書籍の価値は高いままで推移するというスタンスで書いているのでご了承頂きたい。

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