【読書】『多読術』(松岡正剛著/ちくまプリマー新書)~その1


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概要 ▶ 今回紹介するのは「第21回新潟市読書会『多読術』」で課題図書となっている松岡正剛さんの『多読術』(ちくまプリマー新書)です。多読術ということで、素早く本を読む方法が書いてあったり、本をどのように系統立てて読めば良いのかなどが書かれているのかな…と思って読み始めました。■目次第一章 多読・少読・広読・狭読セイゴオの本棚/本は二度読む/たまには違ったものを食べてみる/生い立ちを振り返る第二章 多様性を


今回紹介するのは「第21回新潟市読書会『多読術』」で課題図書となっている松岡正剛さんの『多読術』(ちくまプリマー新書)です。

多読術ということで、素早く本を読む方法が書いてあったり、本をどのように系統立てて読めば良いのかなどが書かれているのかな…と思って読み始めました。

■目次

  • 第一章 多読・少読・広読・狭読
    セイゴオの本棚/本は二度読む/たまには違ったものを食べてみる/生い立ちを振り返る

  • 第二章 多様性を育てていく
    母からのプレゼント/親友に薦められた『カラマーゾフの兄弟』/文系も理系もこだわらない

  • 第三章 読書の方法をさぐる
    雑誌が読めれば本は読める/三割五分の打率で上々/活字中毒になってみる/目次をしっかり読む/本と混ざってみる/本にどんどん書き込む/著者のモデルを見極める

  • 第四章 読書することは編集すること
    著者と読者の距離/編集工学をやさしく説明する/ワイワイ・ガヤガヤの情報編集/言葉と文字とカラダの連動/マッピングで本を整理する/本棚から見える本の連関

  • 第五章 自分に合った読書スタイル
    お風呂で読む・寝転んで読む/自分の「好み」を大切にする

  • 第六章 キーブックを選ぶ
    読書に危険はつきもの/人に本を薦めてもらう/本を買うこと/キーブックとは何か/読書しつづけるコツ/本に攫われたい

  • 第七章 読書の未来
    鳥の目と足の目/情報検索の長所と短所/デジタルvs読書/読書を仲間と分ち合う/読書は傷つきやすいもの

  • あとがき「珈琲を手にとる前に」


■『多読術』を読んでの簡単なまとめ

著者は「読書は編集だ」と言う。
読書は著者から読者へ本を通じた一方的な情報伝達ではないのか。
編集ということはメディアに対して読者が手を入れるということである。
読者にそのような意識はないのではないか。
「読書が編集」とは一体どういうことか。


著者と読者が持ち得る知識や情報の受け口とは乖離・断絶がある。
著者と読者はあくまで他人であるという大前提を理解していなければならない。
その上で、本という文字のメディアを通して著者の考えや思いなどを理解するためには、その乖離・断絶を繋ぐ・埋めるための作業が必要だ。


これを行うことは著者が書いた文章をそのままに受け取るのではなく、読者なりの解釈、つまり編集をしながら受け取るということに他ならない。
結果として読書というのは、読み込み専用のフォーマットのメディアからそのまま読者の脳へとダイレクトにインプットされるものではなく、そこにコミュニケーション・意味変換という編集を伴いながら、情報の受け渡しが行われることなのである。

気になったポイント

気になったポイントを第一章から第二章分まで。


読書って二度するほうがいいんです。同じ本をね。というのは、読書にはその本のこととはべつに、いつ読んだのか、どんな気分で、どんな感受性のときに読んだのかということが、密接にかかわっている。
 『多読術』(松岡正剛著/ちくまプリマー新書)P14

つまり読書というのは本に私事(わたくしごと)が付いてくるということ。
私(自分の今おかれている状態)から感じる部分が発生する。
私がない状態では何も感じる部分は発生することはない。


本にはたくさんの「人の出入り」がある
 『多読術』(松岡正剛著/ちくまプリマー新書)P33

本を知るには本屋さんか図書室か、本を知っている人に出会うしかないんです。そのため、本には「人」がかかわっていることを受け入れられたわけですね。
 『多読術』(松岡正剛著/ちくまプリマー新書)P33

本を中心・ハブとして人から人への情報の伝達が行われるというイメージだろうか。



AppleのDigital HubやWindows PhoneのPeople Hubを考えてみるとわかりやすいかもしれない。
中心となるものは何か、何を中心に周りのものを動かす、影響を与えていったら良いのかと考えたときに、松岡正剛さんは「本」を選択した。


ぼくは自分がつきあったり、師事したくなった人の本は必ず読むことを徹底するんです。これも実は多読のコツかもしれません。
 相手がわかっていて、その人と出会う機会が多いんだから、おろそかに読んではダメだという思いがエンジンになるのと、何冊か読むうちに本との距離感が縮まってくるのと、わからないところが相手から聞けるという、いくつものメリットがある。
 『多読術』(松岡正剛著/ちくまプリマー新書)P47

著者の考えていること、思っていることはそのまま他の誰かに100%伝わることはない。
著者が書く本を通じて、それも複数の本の断片的なエッセンスを読者は自分なりに合わせてみて、著者の考えていること、思っていることはこういうことなんだろうとイメージを作る。



本にはパッケージ性があるので、掲載できる情報には限界がある。また、本の主題から大きく外れることは掲載しづらい。
つまり著者の総体と本は大きな乖離がある。
著書の一部を以て著者全てを語るのは危ういと私も感じる。

これはブログのとある記事だけを切り出して評価するという話にも似ている。
ブログを書いているブログ主は、ブログの記事というものがブログ主から見た「大きな流れの一部」でしかなく、前後のコンテクスト(文脈)を理解し、読み解くための共通の情報の基盤ができていることを期待する。
しかし、検索やレコメンドサイトやソーシャルメディアなどから個別のブログ記事を閲覧され、ブログ主の意図するコンテクスト・共通の情報の基盤を無視された解釈がされることは現在でも良くある話である。

『多読術』を読みたくなったら(*゚∀゚)っ

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