概要 ▶ コンプライアンス(コンプラ)とは何か?ということを考えてみた。コンプライアンスとよく一緒に語られる個人情報の流出は最近多く発生している問題だ。asahi.comの個人情報流出問題のページ(asahi.com)を見ても、多くの個人情報が流出しているのがわかる。印刷業では名簿などの印刷物や基本構造として下請け的な部分にいるために様々な顧客が利用するために個人情報・企業情報が必然的に集まりやすいため、最
コンプライアンスとよく一緒に語られる個人情報の流出は最近多く発生している問題だ。asahi.comの個人情報流出問題のページ(asahi.com)を見ても、多くの個人情報が流出しているのがわかる。印刷業では名簿などの印刷物や基本構造として下請け的な部分にいるために様々な顧客が利用するために個人情報・企業情報が必然的に集まりやすいため、最近のセミナーなどでもよく個人情報と絡めてコンプライアンスの話が出てくる。
コンプライアンスはよく「法令順守」などと訳される場合があるが、それは違うと中島経営法律事務所代理弁護士中島茂氏は述べている。(日経CSRプロジェクト CSRを考える コンプライアンス(nikkei.co.jp)より)
最大の問題点は「法令順守」と理解する結果、「法律さえ守っていればいいんだろう」(あとは何をやっても構わない!)という受け止め方が見られることだ。現に、製品事故で多数の被害者が出ているのに「安全関係の法令は守っていたはずだ」とコメントしたトップもいると聞く。
法律を守るのは企業として当然のものであって、それをわざわざ新しい言葉「コンプライアンス」というカタカナで表現したところで法律も守らなくてはならないのは変わらない。ではなぜわざわざ「コンプライアンス」などという言葉が出てきたのかといえば、法律を守るという当たり前のことに何かが追加されているからだろうと考えることはできないか。
こういう場合はあまり深く考えずに英英辞典を引いて元の意味を探った方が早そうだ。
「The American Heritage(R) Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000」の「compliance」の項目(bartleby.com)では
「The act of complying with a wish, request, or demand」とある。つまり「compliance」は「行動/of満たしている/with希望・願い、要望・依頼・要求」→「希望・要望・要求を満たした行動」ということになる。どこにも法令順守などという言葉は出てこないではないか。
「Never Enough: コンプライアンスって?」(air-nifty.com)によれば
カタカナ英語の日本語化運動を紹介するなかで「コンプライアンス」を「法令遵守」としたのに対してコメンテ-タ-が「苦情処理」にすべきだと力説してた。そうかなぁ?
という日本語にすべきだというコメンテーターもいる様だ。苦情処理というのもなかなかおもしろい意見だが、マイナスの方向にしか意味がとれなくなるような訳し方はコメンテーターとしてはどうかと思う。Never Enoughの筆者が疑問・違和感を感じるのは当然だろう。
ここで先ほどの中島氏のコラムに戻ると、コラムの中でコンプライアンスとは結局なんなのかということでこう書かれている。
企業にとって「期待に応えるべき相手方」は、具体的には、消費者であり、従業員であり、地域社会であり、株主である。企業を取り巻くこうした人々の願いを知り、それに誠実に応えていくこと。それが本来のコンプライアンスであり、企業の使命だといってよい。
法律を守らなくては株主に悪い影響がある。
変な商品や印象の悪い商品や売れない商品を出せば消費者や株主に悪い影響がある。
劣悪な職場環境であれば従業員や地域社会(雇用を含め)に悪い影響がある。
このように考えると、逆に良い商品を多く売り上げ、法律を順守し、従業員・職場環境に対して気持ちよく仕事ができる・過ごせる環境作りをすることが「コンプライアンス」なのではないか。これは全ての活動に対してプラスの考えで、コンプライアンスを実行するのが後ろめたくなるようなことはないだろう。決して「コンプライアンス」は「苦情処理」などというマイナスの方向のものではない。企業がより良く健全に伸びていくための言葉なのだ。
#そう考えるとISOも「品質を安定させる」という目的のはずが、いつの間にか「マニュアル通りに作業を行う」という目的にすり替わってしまう人たちがいるのと似ている。
《余談》
6月から会社の中での仕事が大幅に変わってしまい全然blogを更新する余裕がなくなった。blogを読んだり、ニュースを読んだり、本を読んだりする時間がなくなった。仕事はソレで充実しているが、今までのネタを放出しているだけで入ってくるものがあまりないから「まぁ1年保てばいいか」くらいの気になってきた。勉強どころじゃなくて実践しかないのよね。
【関連書籍】
図解 コンプライアンス経営
コンプライアンス・プログラム作成マニュアル
よくわかるコンプライアンス経営