検索エンジンはユーザーにとって最適な情報を提供しようと改善を続けています。このため、企業にとっては必ずしも都合が良い検索結果にならないこともあるようです。
●目次
- 謎の「ヤフー」という検索ワード
- 実際に「ヤフー 長岡小嶋屋」で検索してみた
- 「長岡小嶋屋」だけで検索して分かった検索エンジンのおせっかい(?)
- 楽天からYahoo!ショッピングへの出店変更には意味がある
- まとめ
- 追記:再度Yahoo!で「長岡小嶋屋」を検索してみた(2016/02/11)
●謎の「ヤフー」という検索ワード
録画してあったとあるテレビ番組を見ていたら小嶋屋さんのテレビCMを放送していました。
年末ということで「年越しそば」の宣伝を行っているようです(現在、年越しそばの販売は終了しています)。
そのテレビCMの最後に表示されたとある部分に私は「えっ?」と思いました。
それはここ。
「●●で検索」の●●の部分が「長岡小嶋屋」ではなく「ヤフー 長岡小嶋屋」になっていました。
この「ヤフー」という検索ワードが追加されていることに、もの凄く違和感を感じました。
「そば」などの関連した検索ワードではなく、なぜ「ヤフー」?
●実際に「ヤフー 長岡小嶋屋」で検索してみた
テレビCMにも書かれているように実際に「ヤフー 小嶋屋」で検索してみました。(テレビCMを見た人がすぐに検索すると想定して、スマホでGoogle検索してみました)
検索結果のトップは「長岡小嶋屋ヤフー店」でした。どうやら小嶋屋さんはYahoo!ショッピングのモール内にネット店舗があるようです。こちらからそばを購入できるようですね。
では、なぜ「ヤフー」という検索ワードが入っているのでしょうか?
「ヤフー」という検索ワードはなくても大丈夫では?
●「長岡小嶋屋」だけで検索して分かった検索エンジンのおせっかい(?)
それでは試しに「長岡小嶋屋」だけで検索してみましょう。
すると、Googleの検索結果では、近くの店舗一覧と地図が表示されました。現在地からの距離、営業時間かどうかなど、リアル店舗(実店舗)に行くために便利な情報が掲載されています。
それでは、通信販売のネット店舗はどこにあるのか、スクロールしてみましょう。
地図の下は長岡小嶋屋さんのウェブサイトですね。その下はリアル店舗の食べログ。
通販サイトが出てこないのでもっと下を見てみましょう。
食べログのページがしばらく続きます。
ようやく「長岡小嶋屋ヤフー店」が出てきました。
この結果から分かるのは、「長岡小嶋屋」というブランド名だけで検索した場合は、リアル店舗の情報表示がとても多いということです。
「長岡小嶋屋」の検索ワードだけでは、通販サイトへの到達はなかなか難しいように思えました。
ちなみにデスクトップ(PC)からGoogle検索で「長岡小嶋屋」の検索ワードで検索した結果は以下の通りです。ネット店舗は「ぐるなび」のひとつ上に表示されていました。
やはりネット店舗へ辿り着く前にリアル店舗の情報が数多く掲載されていることが分かります。
検索結果のトップにある公式サイトから入ったとしても、通販のページに行くには公式ページからサイドバーのバナーを探してクリックするか、左上のメニューの「通信販売」のリンクから説明ページに移動して説明文内にあるバナーをクリックしないとYahoo!ショッピングのサイトへは行けないので、スムーズな流れにはなりません。
画像出典:「へぎそば」の『長岡小嶋屋』へようこそ。
●楽天からYahoo!ショッピングへの出店変更には意味がある
「ヤフー 長岡小嶋屋」での検索結果の下の方をよく見ると、最近(?)楽天市場からYahoo!ショッピングへ出店先を変更したようです。ヤフーでは「出店料」は無料なので、楽天市場の出店料が問題だったのでしょうか?
ここまでGoogleの検索を見てきましたが、Yahoo!の検索を見てみると、長岡小嶋屋さんがモールを楽天市場からYahoo!ショッピングに変更した理由のひとつが見えた気がしました。
それはこちら。
検索結果の4位のところにある内容ですが、Yahoo!ショッピングの検索結果が挿入されています。
ここから商品情報に直接移動できるようになっています。
検索したときは長岡小嶋屋ヤフー店でそばの販売が終了していたため、掲載されている長岡小嶋屋さんの商品はすべてギフトショップの情報でした。もし販売していれば、この検索結果の4位のところに長岡小嶋屋ヤフー店の商品が掲載される可能性もあるわけです。
これは長岡小嶋屋さんが楽天市場に出店していたときにはできなかった集客方法で、Yahoo!ショッピングへのモール参加でできるようになった集客方法です。Yahoo!ショッピングと検索エンジンを持っているYahoo!ならではの集客方法ですね。
長岡小嶋屋さんのサイトにYahoo!から来るユーザー(=検索サイトをYahoo!にしているユーザー)がある程度いれば、スムーズに商品販売ページへ到達できるようになるため、Yahoo!ショッピングへの出店も合理性があるといえるでしょう。
●まとめ
検索エンジンの進化はユーザーが求める情報の追求にあります。検索ワードから、ユーザーが何をしたいのかを予測し、したい行動に最適な情報を提供する努力をしています。
その結果、リアル店舗が複数あるブランドでは、地図情報やクチコミ情報サイトなどの情報で検索結果が埋め尽くされてしまう可能性もあります。(現在では特に飲食店がその傾向にあります)
このため、ただ単純にブランド名だけで検索してもらう方法が最適ではありません。「●●で検索」と媒体に入れる担当者は、目的に合わせた検索ワードの組み合わせでのテレビCM・チラシでの告知が必要になることを覚えておく必要があります。ユーザーがスムーズに狙った行動ができるように、ユーザーの考え・行動パターンを分析して導線を整えておきましょう。
今回は「年越しそばの通販」が目的なのでリアル店舗への誘導ではなく、ネットの店舗への誘導を適切に行える検索ワードが「ヤフー 長岡小嶋屋」だったというわけです。単なるリアル店舗への誘導であれば、「『長岡小嶋屋』で検索」でよいでしょうね。
それではよい検索を。
●追記:再度Yahoo!で「長岡小嶋屋」を検索してみた(2016/02/11)
2016年2月11日に再度Yahoo!の検索で「長岡小嶋屋」のキーワードで検索してみました。
この記事を書いた時は2015年の年末だったので、他店舗の長岡小嶋屋ブランドの商品が出てきましたが、今はどうなのでしょうか?
検索結果の途中にあるYahoo!ショッピング検索結果の該当部分はこちら。
すべて長岡小嶋屋公式ショップの商品へのリンクになっていました。
これなら、検索で「長岡小嶋屋」と検索された方も、公式ショップの商品まで簡単にたどり着けますね。楽天市場からYahoo!ショッピングへ移動すると、こうした検索上のメリットがあるのも見逃せませんね。